SLAC(Stanford Linear Accelerator Center)の見学ツアーに行ってきました。このツアーは結構人気で1ヶ月前に予約開始なのですが、いつもすぐに満席になります。https://oraweb.slac.stanford.edu/apex/slacprod/f?p=240:26
全体で1.5時間のツアーです。スタートはビジターセンターから。ここでガイドさん(とは言っても物理学のPhdで、年齢とインテリジェンスから察するに引退したSLAC関係者ではなかろうか)から40分の全体説明があります。
難しすぎる物理学の内容をユーモアと簡単な例えを入れて分かりやすく説明してくれます。そもそも Linear Acceleratorとは線上の加速器という意味で、なんとこの加速器は2マイルの直線上の機械で(!)しかもSLACの敷地の中にあるんだそう。え・・そうだったの!?超長いではありませんか。。それもその筈、その2マイルの機械はI-280の下を突き抜け遥か先まで続いているそうです。加速器の実験で、理論上の素粒子Standard Modelの16個のうち、何個かがココで確認されたそうです。ガイドさんのお話はSLACの施設や加速器のメカニズムについてだけではなく、その中で行われている研究分野についても紹介をしてくれました。物理学だけでなく、幅広い分野での研究がなされているんですね。。印象的だったのは、世界から多くの優秀な研究者がこのSLACに研究で来ているのは、SLACは無償で研究施設を提供しているんだそうです。研究内容が素晴らしく2年間の審査過程を経て優秀な研究者が集まっているそうです。
全体説明が終わると小休憩をはさみ、今度はバスに乗って加速器の建物まで移動します。最初は工事現場の仮設のような建物が2マイル続いているKlystronを見学。確かに、2マイル先の方までクリアに見えます。ひょえー。建物の中はエンジン音が大きく鳴り響いています。続いて制御室。24時間状況をシフトを組んで確認しているそうです。。ガイドさんが各モニターの数値が何を表しているのかを説明してくれます。
そしてまたバスに乗って移動。大きな倉庫のような建物、これがDetecter Room。Stanford Linear Colliderと呼ばれる超高エネルギーの電子・陽電子の衝突実験を行う加速器の検出器で、現在は使われていないそうです。要は2マイルの終点です。もともとはZ boson(素粒子物理学における仮想上のゲージ粒子)を検出するために使われていたそうですが、今は稼動していません。建物の中は大きな空洞があり、中にはDetecterが入っているわけです。高所恐怖症の私は下を見るだけで脂汗。。こんな立派な施設をもう既に使ってないなんて。。
最後はまたバスに乗ってビジターセンターへ。もう少し私が物理学に詳しければもっと興味深いツアーだったと思います。実際、高校生やシリコンバレー企業の人が参加者には多く、ガイドさんに沢山質問をしていました。でもこんな私ですら割りと楽しめたっていうのは、やっぱり世界的にも稀な施設で中々見学できるものではないSLACならでは、という感じです。